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タックル法律講話
第8話 国家への信頼
逮捕もできていないのに,犯人を公表?
裁判所の言うことはきかなくていい??
国家権力に,限界と幻滅を感じる出来事が続いています
それを言っちゃあ,おしまいです
国松長官狙撃事件が時効で未解決のまま終結,裁判所の判決を無視し続けるブログ市長(阿久根市の竹原市長),税金を納めない首相・・・。
最近の一連の出来事で感じるのは,国家権力の限界が国民の目に明らかになり,その強制力が幻想であることを皆が自覚し始めた,ということです。
国松長官狙撃事件では犯人不明のまま時効が成立しましたが,あろうことか,警視庁の公安部長は,記者会見で「オウム真理教の信者グループが麻原彰晃死刑囚の意思の下,組織的・計画的に敢行したテロと認められる」と発表しました。犯人が誰だか特定もできていないのに,曖昧な根拠で教団を犯行グループと断定しこれを公表するということは,あり得ない蛮行です。
警察が犯人を逮捕,検挙できなかったにもかかわらず,「実は,あの人が犯人です!」などと公表していいのであれば,法治国家もへったくれもありません。オウムだから公表してもいい,というのは大間違いです。こんなことがまかり通れば,一般人だって,いつ,「犯人」として公表されるかもわかりません。まさに,「それを言っちゃあ,おしまい」なのです。
被害者やその家族の心情とは別に,こうした国家権力の機能不全ぶりを平気で国民の目の前に晒している姿を見ると,国民の国家に対する不信感に繋がります。
このままでは「無秩序状態」に?
また,阿久根市の竹原市長は,市役所内のビラをはがしたとして元係長の男性を懲戒免職処分にしその効力を争う裁判で敗訴していますが,判決にしたがわず,男性の復職を認めませんでした。要するに,行政の長が,堂々と,「裁判所の判決には従わなくていい!」と宣言したようなものです。
しかし,これも,「それを言っちゃあ,おしまい」なのです。市民から見れば,「なんだ,裁判所の判決には従わなくてもいいんだ!」ということになってしまいます。
また,鳩山首相の虚偽献金疑惑でも,「なんだ!母親から月に1500万円もらっても税務申告しなくていいんだ!」ということになります。
国家がうまく機能するためには,ある程度の信頼感,安心感がなくてはなりません。「警察は国民を守ってくれる」「「裁判所の言うことはきかなければならない」「税金はきちんと納めなくてはならない」という,権威に対する国民の意識がベースにあるからこそ,成り立っているのです。
ところが,最近は,そうした権威のメッキが剥がれてしまっています。これまでは「国家はたまに悪いことはするかもしれないが,一応の信頼はできる」から税金を払って運営を任せていたのですが,「信頼できない,役に立っていない,不公平だ!」となれば,税金を納める意欲もわきません。国家権力とその権威があってバランスを保ちながら平穏に生活できていたのが,権威の言うことを誰も聞かないようになると,社会は一気に無秩序な状態に陥ります。
治安の悪化,社会秩序の乱れなど,崩壊の序章はもう始まっていますが,結局,そのツケは国民に回ってくることになります。それでは次号で!
タックル法律講話とは…
当事務所代表の堀内恭彦がビジネス情報誌「フォーNET」に連載中の人気コラムです。
身近な法律問題を,独自の視点で分かりやすく解説しています。






