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タックル法律講話 > 第2話 草彅くんの事件~逮捕はやり過ぎ?

タックル法律講話

第2話 草彅くんの事件

 ~逮捕はやり過ぎ?

「裸になって何が悪い!」SMAP草なぎくんの逮捕・家宅捜索はやり過ぎ? でも、批判するなら、警察だけではなく、裁判官も・・・、が筋です!

「現行犯逮捕」には逮捕状はいらない

 少し前の話ですが,人気グループ「SMAP」のメンバー、草なぎ剛君(筆者注=“なぎ”の漢字が常用漢字ではないため、以下「草なぎ」と表記します)が、東京都内の公園で深夜に酔っ払って裸で騒いでいたところ、警察官に注意されても「裸になって何が悪い!」などと聞き入れなかったため、「公然わいせつ罪」で逮捕されましたね。
 この件では、私も、その日の夕方のKBCニュースで少しコメントしましたが、その後、警察は、草なぎ君の自宅の家宅捜索までやりましたね。警察のこのやり方に一部マスコミで「やり過ぎだ!」という批判の声が報道されましたが、この点について考えてみたいと思います。
 まず、「逮捕」ですが、今回は、公然わいせつ罪による現行犯逮捕です。「現行犯」とは、「現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者」をいいます(刑事訴訟法)。普通の逮捕であれば、裁判官から令状(逮捕状)を発令してもらう必要がありますが、現行犯逮捕の場合は、令状(逮捕状)は不要です。これは、犯罪を行っている場面を現認されており、不当な逮捕が行われる可能性が低いためです。
 今回の事件でも、公園で裸になっていたので、公然わいせつ罪にあたることは間違いなく、残念ながら「現に罪を行い」という要件にあてはまってしまうわけです。ただ、現行犯だからといって、警察は何でもかんでも逮捕するわけではありませんが、今回は、警察の指示にしたがわず、服を着ようともしなかったことから、警察としては、仕方なく、「現行犯逮捕」して身柄を拘束せざるを得なかったのでしょう。
 ですから、法律的には、「現行犯逮捕」がおかしい、とは言いがたく、むしろ、警察とは結局は捜査機関であり、現行犯であればいつでも逮捕されてしまう危険性がある、ということを我々市民はしっかりと認識しておく必要があるでしょう。

家宅捜索をチェックするのは裁判官のはずだが・・・。

 では、次に、「家宅捜索」までやったことはどうでしょうか? さすがにこれはやり過ぎではないかと思いますが、私は、非難するのであれば、警察だけではなく、家宅捜索を認めた裁判官も非難するべきだと思うのです。 つまり、現行犯逮捕と違って、家宅捜索(捜索・差押)をするには、令状(捜索・差押許可状)が必要です。そして、この捜索・差押許可状を発布するのは、裁判官なのです。これは、警察による不当な捜索・差押がなされないように、裁判官が公正な目でチェックするためです。
 しかし、今回の事件で、裁判官は、警察が求めるままに、あっさりと捜索・差押を許可してしまった。マスコミが「やり過ぎだ!」と非難するのであれば、警察だけではなく、やり過ぎの家宅捜索をあっさりと許可してしまった、その担当裁判官も非難されるべきだと思います。本来は、裁判官がきちんとチェックをして、「警察はやり過ぎだ」と思うのであれば、捜索・差押を許可しなければよかっただけなのです。
 しかし、現実には、今回の事件に限らず、逮捕状にしても、捜索・差押許可状にしても、警察からの請求があれば、裁判官は、そのままあっさりと認めてしまっているのです。これでは、何のために、法律が裁判官にチェック機能を持たせているのか、わからなくなってしまいます。マスコミには、そういう視点で論じてほしかったものです。いずれにせよ、飲みすぎ注意!ですね。それでは、また次回!  

掲載日:2009年9月4日

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